ロシアSt.P.旅行記(3/4) ;ロシア人の冒険

今回ロシアへの旅行を決めてからネット上で調べたところ、
ロシアはいまだ旅行者にとっておそろしい国だという話がいくつも転がっていた。
旧共産圏の国(ただし中国を除く)へ行くのは初めてということもあり、
私にとって今回のロシア旅行はかなりの冒険であった。
…が、実際にサンクト・ペテルブルグを旅行してみると、
そこは全く拍子抜けするほど明るくて平和な街だった。
外国人の観光客がかなり多いというし、日本人の姿もある。
「外国人に賄賂を要求してくる」とネット上で言われている警官も見かけたが、
特に話しかけられるというわけでもなかった。
何より、街が明るい。
日本と比べて相当に緯度の高い(北緯60度)サンクト・ペテルブルグは今、
ほとんど白夜に近い。この時期、夜の10時半にようやく夕方を迎える。
それは別としても、24時間営業を謳う店が結構あったのには正直驚いた。
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ガイド君がしたという冒険には及ばないが、私も少し冒険してみようと考え、
地元住民が行きそうな駅前のバーに入って酒を飲んでみることにした。
学生時代の苦い思い出があるためウォッカを飲む気にはなれなかったが、
ロシアには「ナストゥイカ」というおいしい果実酒があるという。
どういう果実なのかは定かではないが、木イチゴ版やサクランボ版など、
原料によっていくつかの種類があるらしい。
思ったより普通だった店内を進み、レジで「ナストゥイカ、アジン(一杯)」と
注文すると、小さなグラスにふた口分くらいの黄色い液体が出てきた。
飲んでみると、…やっぱりきつい。アルコールの味しかしなかった。
後日地元のスーパーでアルコール度数20%のきつくないナストゥイカを見つけ、
おみやげとしてひとビン購入した。
が、飛行機に持ち込めずやむなく空港に置いてきた。残念。
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しかし、今回の旅行ではそれを上回る発見をした。クバスである。
これはガイドブック等で「ロシアの黒パンを発酵させた炭酸飲料」と説明されているが、
確かにそうなのだろう。他にも説明できそうなのだが、うまく説明できない。
見た目は黒ビールかコーラ。アルコールは入っていない。
で、その味は、少し甘くて何か懐かしい気分を引き起こす味である。
「懐かしい味」ではない。昔飲んだようなジュースとは全然違う。
無理に説明するなら、黒ビールから普通のビールの味を差し引き、
残った味を100倍に増幅・拡張させた感じ、だろうか。
正直ロシアの黒パンはそれほどおいしくない。硬いし重いし、味がない。
けれどももし自販機でコーラとクバスが売られていたら、私は迷わずクバスを買う。
帰国後、輸入物を扱う食料品店とリカーショップを探したが、
ナストゥイカもクバスも見つけられなかった。
 
さて、今回エカテリーナ宮殿などを案内してくれたガイドは20代半ばの好青年だったが、
彼はロシア人のイメージに似合わず学生時代に大冒険をしてきたらしい。
サンクト・ペテルブルグはロシアの西の端に位置しているが、
彼はそこから東の端のウラジオストクまで自転車でロシアを横断したというのだ。
シベリア鉄道に沿って、列車が1週間かける道のりを3か月かけて走破したのだとか。
その間にホテルやコンビニが多くあるわけでもなく、持参しているテントに泊まり、
水はペットボトルで15リットル分携帯していたという。
じゃあ君は世界で一番長い距離を自転車で走破しているんじゃないか、と尋ねると、
「いや、同じことをしている仲間が結構たくさんいましたよ。
 途中で知り合ったカナダ人はモンゴルの近くで分かれ、モンゴルとゴビ砂漠を縦断して
 中国まで行ったそうです。同じように自転車で。」
なに、ロシアじゃ今そんなことになっているのか。彼曰く、
「次はぜひバイカル湖に行ってください。観光地として開発されているし、仏教徒
 チベット族が独自の街並みを作っているので日本人にも気に入りますよ、きっと。
 …え、『地球の歩き方・ロシア編』に載ってないんですか?おかしいなぁ。」
おう、冒険心を掻き立てられました。
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