日記

スリランカ旅行記(4/4) ;内陸の旅

スリランカの首都がコロンボ以外のどこかだという話をたまに聞くが、 この国の首都はコロンボ以外にはあり得ない。 道路網はよく設計・整備されており、 また国内の他の都市へ続く主要な幹線道路もコロンボを起点としている。 鉄道についても同様だ。 朝早く…

スリランカ旅行記(3/4) ;内戦の影

スリランカの中でも紅茶で有名なヌワラエリヤ地区には、タミル人が多く住んでいる。 スリランカ国民の多数派はシンハラ人と呼ばれる民族で、シンハラ語を話す。 見た目はインド人と全く変わらないのだが、分かる人には違いが分かるらしい。 まあ、欧米人にと…

スリランカ旅行記(2/4) ;白い紅茶

スリランカはかつてセイロンと呼ばれていたが、こんにちセイロンといえば 紅茶のブランドとして思い浮かべられることの方が多いだろう。 この島を植民地としていたイギリス人の好む紅茶がスリランカ島内で栽培され、 それがセイロン・ティーのブランドで世界…

スリランカ旅行記(1/4) ;夕陽のインド洋

2018年の年末から翌年始にかけて、スリランカを旅行した。 日本人にとってスリランカはそれほどメジャーな観光地だという認識は薄いのだが、 世界的にはメジャーな南国リゾートの観光地として認知されているようである。 前世紀末頃には内戦やテロが発生して…

話せば分かる

「話せば分かる」 5.15事件で暗殺された時の首相、犬養毅が暗殺者に向かって最後にかけた 言葉であることは、こんにち小学校の歴史の授業で習う話である。 歴史の授業で習った当時はこの事実に対して特に何の思いも抱かなかったが、 これは昭和の初期に日本…

ベトナム・サパ旅行記(3/3) ;サパへの道

今回ベトナム北部に位置するサパへの移動は、ハノイを起点とする鉄道を利用した。 夜にハノイ駅を出発して翌朝にサパの手前のラオカイ駅に到着する夜行列車である。 かつてベトナムがフランスの植民地だったころにフランスが作った というこの鉄道では、走行…

ベトナム・サパ旅行記(2/3) ;低学歴のガイド

前回の記事で何度か出てきたガイドは自らを「リサ」と名乗っていたが、 彼女にはいろいろとお世話になったばかりでなく、いろいろな話を聞かせてもらった。 まず、その経歴からして尋常でない。 家が貧しかったため、人身売買のような形で幼いうちに許婚を決…

ベトナム・サパ旅行記(1/3) ;棚田の里トレッキング

今年(2018年)の夏休みに、ベトナムへ行った。 目的は、少数民族が伝統的な生活を送っているという北部サパ地方を訪れること。 ベトナムへは過去に二度行っているが、 初回旅行時の旅行記を書くためにいろいろ調べていたとき サパ地方の話をしばしば見かけ…

ブータン旅行記(4/4) ;狩猟民族と農耕民族

今回の旅行は「プロの写真家と行く写真撮影の旅」というテーマのパックツアーで、 現地人のガイドとは別に日本人の写真家さんが終始アテンドしてくれた。 まだ団塊Jr.くらいの若さの方である。 昨年(2016年)日本の写真家としてブータンに招かれていろいろ…

ブータン旅行記(3/4) ;幸せの国

こんにち日本で「ブータン」と言えば、誰もが「幸せの国だ」と答える。 それほどに知名度が高まっているが、 果たしてどれくらいの日本人がそれを信じているのだろう。 元はGNP(国民総生産)の低さを指摘され 「もっと国民の豊かさを目指すべきだ」と他国か…

ブータン旅行記(2/4) ;エマダチ

ブータンはヒマラヤのふもと、 中国・チベットとインドに挟まれる位置にある、山あいの小さな国である。 立ち位置としてはネパールとよく似ているが、国の様子はまるで違う。 ネパールがインドの文化的影響を強く受けているのに対して、 ブータンは完全なる…

ブータン旅行記(1/4) ;高地の花

6月(;2017年)にブータンへ旅行に行った。個人旅行ではなく、旅行会社のパック・ツアー。 秘境の国ブータンはいまだ個人で自由に旅行できる国ではなく、 旅行会社のパック・ツアーでしか観光旅行ができないのだ。 今回参加したツアーは単なる観光旅行では…

戦争を考える(後編) ;戦争のビジョン

こんにち戦争や戦略について語られる場合、その概念的な原型は 19世紀初めのドイツ(プロイセン)軍人クラウゼヴィッツにより書かれた 『戦争論』での記述に拠るところが大きい。 そこでは戦略を「戦争行為の要素である戦闘を計画し、そこに目標を定める意志…

戦争を考える(前編) ;嫌戦争と9条

この文章を書いている2017年10月14日は、 衆議院選挙を翌週末に控えての選挙活動期間真っただ中だ。 しょ…、候補者名連呼型の選挙カーが大通りを頻繁に往来している。 今回は別に衆議院の任期満了というわけでもなく、 国民に信を問うべき明確なテーマがある…

ミュシャ展

現在(2017/04/15)国立新美術館にて開催されているミュシャ展を観てきた。 ミュシャといえばポスターのような絵を描く近代の画家、という印象だが、 実際19世紀末にパリで有名女優のポスターを描いて名を成している。 生まれたのは明治維新少し前の1860年だ…

アメリカ大統領選挙(後編)

(前編からの続き) 日本人からすると、アメリカのマスコミの偏向っぷりは酷く見える。 あちらのマスコミは政治的な中立性を保つ義務はないようで、 会社ぐるみで特定の政党を応援したり特定の候補を非難したりする。 また、外国資本がマスコミの運営会社を…

アメリカ大統領選挙(前編)

今年最大級の世界規模のニュース、結果まで含めれば“最大のニュース” と言えるであろう、アメリカ大統領選挙の結果が出た。 今年(2016年)にアメリカ大統領選挙が行われることは何年も前から予測できていたし、 昨年まで、つまり誰がそれぞれの党の代表候補…

人工知能の判別法(後編)

人工知能における自我の有無は、 やはり所定のルールに則った対話の結果によって判定されなければならない。 そのルールとしては、まず“被験者”が試験に応じなければならない。 問答無用で周囲の人間を殺戮してしまうようでは、判定も何もできたものではない…

人工知能の判別法(前編)

最近また人工知能の話題が盛り上がっているようである。 今回の盛り上がりの直接的な原因は、おそらく 人工知能「アルファ碁」が人間の囲碁の名人を打ち負かした、というニュースだろう。 検索してもあまりよい資料HPが上がってこないので、 とりあえず読ん…

ミャンマー旅行記(4/4) ;日本との関係

今日の大抵の国において、その中に関係の深い大国の影響を見て取ることができる。 例えばベトナムでは旧ソ連の影響を見て取ることができるし、 日本でもかつての大国唐からの影響をその文化の随所に見て取ることができる。 ミャンマーについて考えてみると、…

ミャンマー旅行記(3/4) ;河の向こう側

ヤンゴン市内には鉄道の環状線があるのだが、本数が多くないため便利ではない。 道路は基本的に自動車のためのもので歩行者に対しては非常に不親切であり、 日差しもきついことから、ちょっとした移動にもタクシーを使うことになる。 値段も手頃で数も多いの…

ミャンマー旅行記(2/4) ;意外にも砂漠

ミャンマーでは、5月中基本的に学校が夏休みだという。 なぜなら、ミャンマーでは4月~5月が一年で最も暑いからである。 5月下旬からは雨季となり、午後からは激しいスコールが降って気温が下がる。 そして10月以降は乾季となり、日本の初夏のような過ご…

ミャンマー旅行記(1/4) ;黄金色の仏塔

このGWに、ミャンマー旅行に行った。 目的は特にない。 ただ、少し前まで今の北朝鮮みたいな扱いで普通には行けない国だったのが、 最近は結構簡単に行けるらしい、という話を聞いて行ってみようと思った。 ミャンマーは東南アジアで最も西の国であり、タ…

王道と奇道(後編)

日本史においてはもう一つ、世界史級の重要な奇襲・奇策が存在している。 山本五十六による真珠湾攻撃である。 それが“奇襲”として有名なことは誰もが知っている。が、 これは世界的にも際立った奇策であったらしい。 当時海戦とは戦艦が主役で行うものであ…

王道と奇道(前編)

「王道」という言葉は今でもよく使われる。 「このアニメの最終回は王道展開だ」などというように。 この場合の「王道」は、「誰もが普通に考える方法」というような意味である。 そして、この意味に対する言葉が「奇道」である。 この言葉は普段あまり用い…

安保法案の顛末を見て(後編)

(続き) では、今後彼ら(野党)が立ち直るにはどうすればよいのだろうか? やがて時がたてば、今は政界を独占する与党内部に慢心と綻びが生まれ、 またタナボタ的にどこかの野党が政権をとることになるかもしれない。 しかしそんな事態は日本国民にとって…

安保法案の顛末を見て(前編)

今週のテレビのニュース番組はどこもいつも安保法案関連の話ばかりだったし、 ネット上でもよく話題になっていた。 週末にはついにその安保関連法案が衆参両院を通過して成立した。 ここは一国民として私も何か書いておいたほうがよさそうだ。 まず事実関係…

メキシコ旅行記(4/4) ;幻の湖

現在のメキシコの首都メキシコシティは、 スペイン人がやってくる前のアステカ王国の時代にも首都だった。 その町は「テノチティトラン」と呼ばれ、 「テシココ湖」という湖の上に作られた人工島に建設されていたという。 しかし16世紀、スペイン人がやって…

メキシコ旅行記(3/4) ;古代文明

メキシコはまた、 マヤ、アステカをはじめとする中南米の古代文明発祥の地としても有名である。 知名度でいうと南米ペルーのインカ帝国も有名だが、 この帝国はその始まりが13世紀と比較的新しく、”古代文明”とは言い難い。 なにより、インカ帝国には文字が…

メキシコ旅行記(2/4) ;サボテンのツナ

言うまでもなくメキシコはアメリカの南に位置する国で、 アメリカとの間に長い国境線を持っている。 メキシコに対する日本人のイメージは、 「不法労働者と移民」「麻薬の密輸」「カリブ海リゾート」 大体こんなところだろう。アメリカを通して見たメキシコ…