アメリカか、中国か

反中感情が高まっている今の日本において、
元首相の鳩山由紀夫氏がこのところ奇妙に中国に媚びる発言を連発している。
http://mainichi.jp/select/news/20130814k0000e010172000c.html
  (毎日新聞 2013年08月14日)
日本の総理大臣を務めたほどの人物が、どうしてこうなった?
と、常識的に考えたのでは理解に苦しむところだが、
もし鳩山由紀夫氏の主張の核心が"媚中"ではなく"反米"にあるのだとしたら、
何となく彼の意図が見えてくる。ちなみに彼は
首相在任中に沖縄の米軍基地を排除しようと試みて挫折した経験を持っている。
案外彼は最初から本気で反米意識を持っていたのかもしれない。
 
個人的な主義・主張はさておき、冷静に考えた場合
果たして日本はアメリカと中国のどちらをパートナーとすべきなのだろう?
まあ実際は中国の側が反日意識をむき出しにしている状況なので
日本から中国に近づくことは不可能なのだが、もし中国がその態度を改めたとしたら?
地理的にも文化的にも、日本はアメリカよりも中国に近い。
ちなみに、現在世界で日常的に漢字を使う国は中国と台湾、それに日本のみである。
 
冷静に考えるのは難しいか。ならば感情的に考えてみたらどうだろう。
これならすぐに答えられる。中国をパートナーに選ぶなんてとんでもない!
しかし、この中国に対する嫌悪感はどこからくるものなのか。
今に限って言うならば、それが中国人の反日的な言動にあるのは間違いない。
しかしそれを言うのであれば、
アメリカだってかつては激しいジャパン・バッシングを行っていた。
長期的な視野で見れば、中国だけが特別なわけではない。
「中国は国際問題の解決に軍事力を用い、周辺地域と武力紛争を繰り返している」
この意見は的を得ている。
平和憲法を頂く私たち日本人にとって、このような態度は強い嫌悪感を引き起こす。
しかし冷静に考えれば、アメリカだって同じようなことをしている。
ただその地域が日本から遠く離れた中南米や中東に偏っているため
日本人の意識に残りにくい、という事情は考慮されるべきだろう。
 
問題は、その"理由"である。
アメリカがイラクアフガニスタンに対して軍事行動を起こした理由は、
隣国への一方的な侵略戦争への阻止であり、
一般市民を標的とするテロリストおよびその支援者の排除であった。
ベトナム戦争の目的は、全体主義;英語でいうと"ファシズム"を標榜する共産主義
これ以上世界に蔓延させないことであった。
これらの"理由"は、万国の市民の平和維持という観点から理に適っていると言える。
アメリカの本心はそれらの建前とは別にある」という意見もあるかもしれないが、
だとしてもこれらの建前が間違っていることにはならない。
 
一方中国の場合はどうか?
チベットを軍事力で併呑し、インド、ベトナム、そして台湾の領土を狙って
それらの国と武力紛争を引き起こし、
今、尖閣諸島や南方の島々を武力により奪わんとしているその理由は何か?
すべてが「自らの私利私欲」である。そこには何らの大義もない。
それを隠そうともしない。彼らは尖閣諸島のことを「核心的利益」と呼んでいる。
ある意味すがすがしさを感じるほどの正直さだ。
この点こそが中国とアメリカの決定的な違いであり、
私たち日本人が中国に対して不信感と不快感を感じる原因なのではないかと思う。
 
もっとも、私たち日本人もそれを笑ってばかりはいられない。
今より100年近く前、日本は「満州は日本の生命線」と公言して憚らなかった。
そこには何らの大義もなく、むき出しになった欲望がありありと感じられる。
そしてその先には、現地住民への抑圧と搾取の姿までが垣間見える。
その結果当時の日本は世界中から疎外され、孤立化の道をたどっていった。
私たちはこの歴史上の事実を忘れてはならないのだ。
そしてその時代に迷惑をかけたアジア諸国への"お詫び"の気持ちを忘れないのであれば、
私たちは今
同じようにむき出しの欲望に従って他国に武力を向けるような国に同調してはいけない。
 
そしてそんな国・勢力の存在こそは、
アメリカがアジアに軍事的拠点を構える口実そのものである。
中国は自らの言動をもって、
アジア・太平洋における米軍の活動の妥当性を立証しているのだ。
私たちは、何も悩む必要はない。少なくとも今のところは。
「しかし中国の市場は魅力的ではないか?」
そんな悩みに惑わされているあなたには、女難の相が見える。
身勝手な美女に媚びてばかりいれば、自らむしりとられるだけでは済まない。
周りの人たちも迷惑を被って、そんなあなたを軽蔑の目で見るようになりますよ。