ワシントン・レポート (1/3) ;航空・宇宙博物館

年末休みを利用して、アメリカの首都ワシントンD.C.に行ってきた。
目的は完全に観光で、博物館巡りである。
ワシントンD.C.も中国の北京同様、国の政治の中心でありながら、観光地としての側面も強い。
ワシントンD.C.において最も重要な観光スポットは、いわゆるスミソニアン博物館。
これはスミソニアン協会が運営する博物館・美術館群の総称で、
実質的にアメリカを代表する博物館・美術館である。入場者の国籍を問わず入場料はただ。
 
自然史博物館などもあるのだが、こちらはまあ普通。
やはりスミソニアンとの博物館といえば何といっても航空・宇宙博物館である。
航空・宇宙博物館には本館と別館の2つがあり、市の中心部にあるのは本館のほう。
本館のほうは展示がテーマごとにまとめられており、学習用テーマパーク的な雰囲気だった。
意外と宇宙の比率が高く、ボイジャーや火星探査機の実物大模型などはもちろん、
ハッブル宇宙望遠鏡による宇宙の写真や金星の地勢図の展示ルームなどもあった。
こういうのってありそうで意外とないよね。金星の地勢図なんてはじめて見たよ。
日本もあんな感じで展示館を作れば、成果が既成事実化して予算も取りやすくなると思う。
個人的には、つくばのJAXA施設の一般公開で見てきた人工衛星などの展示物は、
スミソニアンの航空・宇宙博物館と十分張り合えると思う。
 
別館はダレス国際空港の近くにある。市の中心から行くのは相当大変で、
地下鉄(相当な距離) → 空港行きシャトルバス → 博物館行きのバス
と乗り継がなければならない。
日本(成田)からの直通便はダレス国際空港に朝着くので、荷物が大きくなければ
到着日に直接行くのが最も効率的だと思う。私もそのようにしてきた。
こちらの展示は(多分)すべて本物で、コンコルドやらF14戦闘機やらが
巨大なハンガー(格納庫);これが博物館の本体 の内部に整然と並べられている。
ここの一番の目玉はスペースシャトルエンタープライズ号で、今現在一般人が
本物のスペースシャトルをこれほど間近に見られるのはおそらく世界中でここだけだろう。
スペースシャトルはやはり大きい。
先に本館のほうに行ってアポロ宇宙船の帰還ユニットを見ていれば、
その大きさにさらに愕然とさせられたことだろう。
ちなみに私は本館に後から行ったため、アポロ宇宙船の帰還ユニットの小ささに呆然とした。
 
有名な「2001年宇宙の旅」をはじめとして、前世紀のSFでは21世紀の宇宙旅行
当然のこととして描かれている。しかし実際21世紀になってみると、
宇宙開発に関してはSF作家の誰もが予想できなかったほど進展がない、というのが結果である。
これも今回行ったアメリカ歴史博物館には、
「もっと強くなりたければ、敵(ライバル)を作りなさい」
というエジソンが言ったとされる言葉があった。
事実アメリカの宇宙開発はライバルソ連との競争によって、スプートニクICBMの脅威によって
進められてきた。それゆえ、ライバルを失ったアメリカは宇宙開発において失速したのである。
前世紀のSF作家達が予想できなかったのは、ソビエト連邦の崩壊だったのである。
他方我が日本を見ると、むむっ、格好のライバル・中国がいるではないか。
日本と中国は宇宙開発に着手したのも同時期ならば、
近年月探査機を送り出しミッションを成功させたタイミングも同じだという。
「かぐや」と「ジョウガ」。ともに両国固有の月へと飛んだ美女の名を付けて。
「エンジンが異常燃焼した」とか「4つのエンジンのうち3つが壊れた」とか言ってる場合じゃないでしょうって。