モロッコ旅行記(1/4) ;砂漠ツアー

年末年始の休みにモロッコに行ってきた。アフリカの北にある砂漠の国である。
なぜかは分からないが、無性に砂漠が見たくなったのだ。
はじめはもっと近場で中国の内陸を考えていたが、砂漠とはいえ冬は恐ろしく寒いらしい。
でも、(いくら北半球とはいえ)アフリカの砂漠なら大丈夫っしょ、ということでモロッコ
HISに行ったところ、「モロッコはうちでは扱っていません」とのこと。
仕方なく航空券とホテルだけ手配してもらい、現地で砂漠ツアーを探すことにした。
行き先はモロッコ最大の観光都マラケシュ、日程は現地滞在が丸4日間。
マラケシュ市内には砂漠ツアーを企画している旅行社(の看板)がいくつもあり、
そのうちの一つで一泊二日のツアーに参加した。
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北アフリカに位置するとはいえ、モロッコは実は言うほど「砂漠の国」ではない。
首都のカサブランカは東京とほぼ同じ緯度にあり、
飛行機から見下ろした限りでは延々と緑の農地が広がっていた。
それより北の海岸地区は、ヨーロッパ人がバカンスに行くような観光地らしい。
マラケシュはもう少し南、すなわち内陸にあるが、通りには多くの街路樹が繁っていた。
特にオレンジの木が多く、どの木もたわわに実をつけていた。
私は正直オレンジを馬鹿にしていたが、かの地のオレンジジュースのおいしいこと。
砂糖か何かの甘味料の添加を疑ったくらいだが、丸ごとのオレンジも同様においしかったので
あれがかの地のオレンジの実力ということになる。
いわば、みかんで最高の当たりを当てたくらいの甘酸っぱさ。
おまけに皮も(固めの)みかんと同じくらいの柔らかさで、むくのに苦労することもない。
しかし、そのオレンジも翌日になると私のよく知っているオレンジの味になっていた。
どうやらオレンジの味に関しては、鮮度が非常に重要であるらしい。
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ラケシュ発の砂漠ツアーは、自動車でさらに300kmほど南へ行かなければならない。
マラケシュのすぐ南にはアトラス山脈が立ちはだかっており、
ここを越えなければ本当のサハラ砂漠を見たとは言えないのである。
アトラス山脈は高いもので4,000m級の山々からなり、
白く雪をいただいた雄大な姿をマラケシュの街中からも見ることができる。
そしてアトラスを越えると…、まだ砂漠ではない。
グランドキャニオンのような台地が広がる土漠である。
アトラスの山腹から流れ出でる清流が何本も流れており、
その沿岸は帯状に続くオアシスとなっている。人家も点在している。
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いくつもの集落を越えていくうちに、ついに日が暮れてしまった。
そしてついに自動車が止まり、ツアー客が連れて行かれた先には、らくだ。
既に暗くてよく見えなかったが、周囲は既に砂で覆われた砂漠であるらしい。
(実際にはらくだの背から日没を見るらしいのだが、時期が悪く日の入りが早すぎたようだ。)
ふと空を見上げると、澄んだ星空の中に明るい三日月の光。
ほぉ、月の砂漠でらくだライディングとは、絵になる旅行の経験。
…と思っていたら、このらくだ、おそろしく乗り心地が悪い。その揺れ方はロデオ並み。
おまけに途中で一度暴走し(つながれているので暴走は全体に波及する)、
一人の白人男性が振り落とされた。彼はその後歩いたが、徒歩でも速度は変わらず。
らくだは愛嬌があってかわいくも見えるが、人を馬鹿にした顔のようにも見える。
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2時間ほどらくだで進んだ後、砂漠の真ん中にあるテント村に到着。
ここが宿泊地で、食事とキャンプファイヤーを行った。
しかし何といっても感動的だったのは、星空のきれいさである。
日本でも冬にはよく見えるオリオン座、かの地では、無数に散らばる星のうち
目立つ幾つかを結ぶとオリオン座になる。そもそも見え方が異なるのだ。
天の川と思しき光の帯も見えたが、高層雲もあったため判別できなかった。残念。
砂漠の夜が暗いといっても、実はまだまだ。三日月が意外と明るいのである。
地面には、三日月のためにできた自らの影がはっきりと見えた。
しかし深夜に起きて空を見上げた時には、三日月は沈んでいた。もう自分の影も見えない。
このときは本当に満天の星空を見ることができた。でも、デジカメには写らなかった。
明け方(日の出の2時間前)にも起きて見たが、もう既に星の多くは見えなくなっていた。
 
翌日はやはりらくだと自動車に乗り、もと来た道を逆にたどってマラケシュまで戻った。