モロッコ旅行記(3/4) ;タンジーヤ

ロッコというとアフリカ、アフリカというと黒人の大陸、というイメージがあるが、
実際のところモロッコの国民の多くはアラブ人、すなわち(南方系の)白人である。
かつてフランスの植民地(保護国)だった頃の移住者かもしれないが、
男性ではフランス人を連想させる外観の人が多い。サルコジ大統領みたいな人とか。
ホテルのフロント係は見た目がまったくジャン・レノだった。
女性はというと、黒髪のギリシャ人、あるいはインド人とギリシャ人を
足して2で割ったくらいの感じである。
イスラム教の文化圏では女性は大衆に顔をさらしてはいけない、と顔を覆うイスラム
伝統的な衣装を身につけている女性もメディナ(旧市街)では見かけたが、
大半の女性は普通の服装か、せいぜい頭をスカーフで覆う程度だった。
イメージ 1
 
北アフリカというとイスラム文化のイメージが強いが、非イスラムの観光客が多いせいか
ロッコマラケシュ)ではその影響は薄いように感じられた。
カトリックの教会や東南アジアの仏教寺院はすぐに分かるような目立つ外観をしているが、
ここのモスクは分かりにくい。
モスクの脇にミナレットと呼ばれる正方形の塔が建っており、その存在から分かる。
ただ、フナ広場近くのミナレット(クトゥビア・モスク)はイスラム世界で最も美しい
と言われるだけあって遠くからでもよく目立って見えるが、
砂漠の小さな集落にあるミナレットは小さくてあまり目立たない。
特定の時間になるとこのミナレットからイスラム教の説教(?)が流れてくるが、
その時でも「メッカの方角にひれ伏して祈るやせたおじさん達」の姿は見られなかった。
イスラム世界でタブーとされている豚肉はさすがにどこにもないが、
同じくタブーであるはずの酒類(ビールとか)はスーパーなどで売られている。
ロッコ国民でも、人前でなければ飲んでもいいとされているらしい。
ただし、写真だけは気をつけたほうがよさそうだ。
イスラム教は偶像崇拝を忌み嫌っており、それにつながる肖像もタブーである。
その影響か、「写真はダメだ」と通りがかりの住民から何度か注意された。
また、フナ広場のヘビ使いや民族衣装のおじさんたちも要注意だ。
写真撮影するとそれだけで高額なチップを要求される。
まあこれについてはモロッコに限らず非イスラム圏でもよくある手口ではあるのだが。
イメージ 2
 
ロッコ料理で有名なのは、タジン鍋とクスクスである。
タジン鍋とは、鍋の中に肉と野菜のみを入れて香辛料をかけ、スリーマイル島
原発のような外観のふたをかぶせて加熱する料理である。
野菜から出る水分が外部に逃げないため、水を入れなくても煮込んだ料理のようになる。
野菜の味や風味が逃げないためか、これが大変おいしかった。
通りに面した軒先にこの鍋が並べてあり、通りを歩く客の食欲を誘う。
ん、鍋と一緒に並べてあるあの小さな壺は何だ…?あれもまた食欲を誘っている様だが…。
クスクスは「世界最小のパスタ」と言われるもので、直径1~2mmの不ぞろいの粒子。
これはタジン鍋の底に敷いておくことで調理しているようだ。
はじめは気がつかなかったのだが、これらの料理には全くといっていいほど塩気がない。
砂漠ツアーでは飲み水の不足を心配して2Lものミネラルウォーターを持参したが、
ほとんど口をつけることなく持ち帰ることになった。
塩分を摂取しなかったため、のどが渇かなかったらしい。
ただこれ、冬は寒くてほとんど汗をかかないのでいいけれど、夏はどうするんでしょ?
汗で塩分を失うと、体には余りよくない気がするのだが。
イメージ 4
 
最終日の夜、タジン鍋とクスクス以外に何か名物料理はないものかと探してみると、
マラケシュには『タンジーヤ』という、壺の中でスパイスと羊肉を煮込んだ
 名物料理があります。」(by地球の歩き方
なぬ、昼間に見かけたあの小さな壺は、まだ見ぬマラケシュの名物料理であったのか!
「お肉とろとろでおいしかったです。お薦めです。」これは食べ逃す訳にはいかない。
ところが、夜のレストラン街を延々と探し回ったものの、あの壺が見つからない。
どうやらあれは、朝のうちに一定数だけ仕込んで昼間火にかけておき、
それらが売り切れた時点で販売終了という数量限定の料理らしい。
翌朝には帰国。トランジットのカサブランカ空港内でも探したが、やはり見つからず。
ああ、タンジーヤ。一生トラウマになって残りそうな心残り。
何とか日本で見つけられるといいな…。
イメージ 3