ベトナム中部旅行記(5/7) ;Viet-com

ベトナム料理といえば幾つかあるが、中でも有名なのはフォーだろうか。
フエの名物料理といえば、「ブン・ボー・フエ」。フエの名を冠した麺料理である。
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フォーもブンも米から作られる麺で、形状が異なる。ブンはそうめんに近い感じ。
スープは唐辛子、胡椒、それにヌックマム(魚醤)で味付けされている。
どこかで食べた味だと思って考えたら、「中華三昧」塩味版と同じ味だった。
もしかすると、その粉末スープを使ってスープを作っているのかもしれない。
「ボー」は牛(肉)の意味だが、ヤギ肉(だと思う…)が入っていたことも。
しかしもっと独特なのは、レバーを思わせる灰色の具。
味も香りもなく、食感だけが独特だ。強いて言えば、豆腐とゼリーの間といったところ。
見た目からある程度予想はできたが…、やはり「血の塊」だという。しかし
「血」や「アク」を思わせるような味も臭みもない。おいしいと言ってもいい。
 
ベトナム料理の特徴は、一般的にはヌックマム(魚醤)にあるとされる。
タイには「ナンプラー」と呼ばれる(タイ人は「ナムパー」と発音する)魚醤があり、
これは臭くて私は苦手なのだが、ヌックマムはあまり臭くなかった。塩辛いだけ。
私は、ベトナム料理の味付けの特徴はむしろ胡椒なのではないかと思う。
実はベトナムは、世界一の胡椒生産国なのだそうだ。ただしあまり安くはなかった。
デザートは、「チェー」と呼ばれる甘い汁物。
スライスしたとうもろこしの粒に練乳をかけた「チェー・バップ」(店員の言った
名称は「テバ」としか聞こえなかった)を食べたが、
とうもろこしが甘さも食感もデザートに適しているとは意外な発見だった。
フエには他にもお茶請けによさそうなお菓子が多くある。京都の和菓子のようなもの
だろうか。保存も効くので、帰国後に配るおみやげとして最適だ。
 
ホテルからコン市場へ続く通りの途中に、観光客が入りそうにない細い路地を見つけた。
自動車が一台ぎりぎり通れる位の幅で、たまに自動車も通る。
そこを少し入ると、おしゃれで雰囲気のいいカフェがあった。入ってみると
メニューも充実しており、何より安い。アイスコーヒーが一杯50円(13,000ドン)。
間違いなく地元住民向けの店である。
調べてみると、100mほどのその路地の両側に、合わせて4~5軒のカフェがあった。
フエ滞在中そのうち4軒に入ったが、どこも同じように質の高いカフェだった。
ここは「カフェ・ストリート」としてガイドブックに載ってもいいんじゃないかな。
甘いアイスコーヒーにアルコールを加えた「コーヒー・ラム」が一杯65円。
近くにバーがなかったので(ベトナムではアルコール飲料が高くてビール以外は
あまり飲まれないらしい)、夕食後いつもここでコーヒー・ラムを飲んで過ごした。
 
ベトナムでは、お米のご飯を「com」という(厳密には「o」に発音記号が加わる)。
地元民のためのフエの名物料理、いわゆるご当地B級グルメは、「コム・ヘン」
シジミ丼である。シジミ以外にも味付けされた野菜やじゃこが乗っており、
正直シジミの味はしない。
しかし、一緒に出されたシジミスープはだしが効いていておいしかった。
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そう立派な店でもないのに、昼間から地元客でいっぱいの食堂を見つけた。
すいている時を見計らって入ってみると、ウェイター(主人っぽい)は無愛想で
英語も全く通じない。何とかメニューを持ってきてもらっても、すべてベトナム語
<指差し本>の字引のページを使って解読を試みるが、これはと思う料理がない。
周りを見ると、みな同じような丼ものを食べていた。
あれは何ですかと尋ねると、メニューの最上段にある「com」(38円)を指差した。
いや、それは安すぎる。ただのご飯でしょ?でもまあ、そういうならそれをください。
出てきた料理を見ると、確かにみんなが食べている丼ものだった。
載っている具には、肉っ気が全くない。野菜の切れ端と、油揚げが少々。
ちなみにベトナムでも豆腐はポピュラーな食材だが、油揚げはここ以外では見なかった。
 
食べてみると、味付けがとてもおいしい。
砂糖醤油で煮込んだような味のものあり、辛い味のものあり、胡椒風味のものあり。
これらはただの野菜の切れ端ではあるまい。ちゃんと厳選された食材の部位に違いない。
後日ホテルのウェイトレス、フォンちゃんに聞いたところ、
そこはおいしい野菜料理の店として地元住民に人気の店なのだとのこと。
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基本的に、ベトナム料理の味付けは濃い。
まったく、これだから南国人は。日本の伝統料理はもっと洗練されていて…。
日本で普通に食べられる料理といえば、焼き魚か。秋刀魚にサバ、それにアジ。
これらの焼き魚って、どんな味付け?少しは醤油をかけるが、基本的には味付け無しだ。
私はこれらの焼き魚が大好きで、それぞれの食材の味がおいしいと思う。でも、
外国人は日本料理の代表が味付けされていないシンプルな焼き魚や刺し身であることを
どう感じているのだろう、とふと思った。